自分から声をかけられない、みんなの視線や人前で喋ることができない、こんな悩みをかかえてはいませんか?
この連載ではサイレントセールストレーナーの渡瀬 謙氏の著書「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本」から、そんな悩みを抱えて生きる方へ同じく自らの性格に40年以上、悩んできた渡瀬さんが培ってきた内向型人間の「弱み」を「強み」に変えるまでのお話を抜粋してご紹介します。
#12から第3章に入ります。
#1はこちらから
第3章 こうすればストレスのない人づきあいが実現できる 1/5
■ ステップ③ 人に伝える
「言えない。自分が内向型だなんて人には言えない。
そんなことを言ったらバカにされるだけだ。
でも、言わないでいるのも実際には付き合いづらい……」
先日、ちょっと恐い顔をした男性と話をする機会がありました。
ムッとした表情で黙っています。
なにか怒っているのかとこちらも警戒していました。
ところが、彼は恥ずかしそうに手のひらを見せてくれたのです。
汗でびっしょりでした。
「人前に出るといつも緊張してこうなるんですよ」
そう言って笑いました。
すると、一気にお互いの緊張が解けて、気軽に会話ができるようになったのです。
彼はあがり症だということを、私に伝えてくれました(しかも証拠付きで!)。
そんな彼を見て、素直で誠実な人なんだなと、私は親しみを持ちました。
このやりとり、気持ちよさそうではありませんか?
それがこの章のテーマです。
内向型はとかく自分ひとりで解決しようとしがちです。
誰かに相談することもなく、自分の中だけで結論を出そうとする性格のために、人より遠回りをしていたり、要領が悪い結果になることもしばしばです。
自分と向き合うことや自分を受け入れることのように、自分に対する課題にはコツコツと根気よく取り組めますが、他人に対することになると、後手になりがちなのも内向型の特徴です。
ひとまず自分を受け入れることで、少しはラクになったとしても、ひとりで完結していたらそれは自己満足で終わるだけです。
結局のところ内向型の悩みのほとんどは、対人関係によるものです。
やはり、必要なのは、外へ出て人と会うこと。そして社会と上手に関わることができて、はじめて内向型の悩みを克服できたと言えるのです。
まず手始めに、身近な人に伝えることから始めてみることにしましょう!

■ なぜ、「本当の自分」をまわりに知らせる必要があるのか?
一応ダメもとで聞いてみます。
あなたは、今までに自分が内向型であることを、人に言ったことがありますか?
おそらくほとんどの人がないはずです。
たいていは怖くてそんなことは言えません。
もしも「私は内向型なんです」などと言おうものなら、人から白い目で見られてしまうと思っているからです。
でもそれは、内向型が悪い性格だと思い込んでいたときの話です。
ここまで本書を読んできたあなたなら、内向型は決して悪くはないんだということを、理屈の上では理解しているはず。
それなら言えそうですよね。
「そうは言っても、内向型が悪くないと思っているのは自分だけかもしれないし、まわりの人が内向型の性格に偏見を持っていたらと考えると、やっぱり言うのは怖い」
それでもまだ躊躇している人は、こんな心配をしているのかもしれません。
その気持ちはよくわかります。
これまでかたくなに封印してきたことを、そんなに気軽に外に出すことなどできません。
序章でもお話ししましたが、私などは、結局は自分の口で言う代わりに、自分で書いた本を読んでもらうという方法をとりました。
もちろんこれはレアケースですが、いずれにしても「本当の自分」をまわりに伝える行為に変わりません。
書いてしまって、印刷されて、それが書店に並ぶとき、私は本が出るうれしさよりも、読んだ人に私の性格が知られることのほうが気になっていました。
そして内心で怯えていたのです。
まで頑張って隠してきた自分の本当の性格を、知人が知ってしまったら軽蔑されるだろう。
これまでのような付き合いもできなくなるに違いない。
ひょっとすると、もう私のまわりには誰もいなくなってしまうのではないか。
これが、当時の私の心境でした。
こんな気持ちになるくらいなら、時間を巻き戻してしまいたいとすら思ったものです。
本が売られて私の本当の性格が知られるようになると、まわりからの反応が起こり始めました。
それは私が想像していたものとは正反対の反応でした。
軽蔑されて嫌われて避けられると思っていたのに、褒められて認められて声をかけてくれるようになったのは、前にもお話しした通りです。
正直に言って、最初のうちは本の内容が良かったから認めてくれるようになったのだと思っていました。
でも違っていたのです。
私が自分の本当の性格について正直に語っていたことに、強く反応していたのを後になってわかりました。
その証拠に、本の内容よりも、私の性格についての話ばかりしてくるのです。
「渡瀬さんって本当に子供の頃からおとなしかったんですね!」
「本当にしゃべらないんですね、本に書いてあった通りだ!」
「私もあがり症なので、何度もうなずきながら読みました!」
このようなことを親しみを込めて言われるようになりました。
最初のうちは気恥ずかしくて、自分でもどう対応していいのかわかりませんでしたが、そのうちにだんだん気持ちよくなってきました。
そしてついには自分でも「騒がしいところは苦手だから静かな店にしようよ」とか「大きな声が出ないのでマイクを貸してください」などを平気で言えるようになってきたのです。
これは自分の中では大きな変革でした。
私が「本当の自分」をまわりに伝えたことで得られたものがたくさんあります。
- まわりの人たちが親しげに話しかけてくれるようになった
- 自分の性格がばれないようにと、おどおどすることがなくなった
- いつも気持ちを張っていた人づきあいが気楽になった
- 自分の意見を言えるようになってきた
- 人づきあいのストレスが激減した
など、まだまだありますが、ひとつだけ自信を持って言えることがあります。
それは、「自分の性格を正直に伝えても、悪くなることはひとつもなかった」ということです。
言ってしまったら今よりも状況が悪くなると思っていましたが、良くなることばかりで悪化したものは何もありませんでした。
これってすごいことだと思いませんか?
ためらう理由はなかったのです。
あとは、思い切って飛び込むだけです。
