自分から声をかけられない、みんなの視線や人前で喋ることができない、こんな悩みをかかえてはいませんか?
この連載ではサイレントセールストレーナーの渡瀬 謙氏の著書「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本」から、そんな悩みを抱えて生きる方へ同じく自らの性格に40年以上、悩んできた渡瀬さんが培ってきた内向型人間の「弱み」を「強み」に変えるまでのお話を抜粋してご紹介します。
#15では堂々と内向型の特徴を出すことについてお話しします。
#1はこちらから
第3章 こうすればストレスのない人づきあいが実現できる 4/5
■ 無理をするとかえってマイナスに
とくに内向型には苦手なことがたくさんあります。
他愛もない話が苦手。人ごみが苦手。
騒いで盛り上がるのが苦手。
泣いたり笑ったりが苦手。
怒られるのが苦手。
目立つのが苦手。
人前で話すのが苦手……などキリがありません。
でもそんな苦手なことを我慢してやってしまっているのも、内向型の特徴ではないでしょうか。
断れずにまわりに合わせてしまうのです。
それで嫌われないようになっているかというと、少々疑問です。
嫌々参加している人がいたら、それはそれで楽しさに水を差すこともありますし、かえってじゃまになっていることさえあると思うからです。
前、ある会合に参加したときのこと。
それは異業種交流会のようなもので、知人に誘われて行ったのですが、ほとんどが知らない人ばかりでした。
ただ、私としては新しい仕事を始めたばかりでもあり、ビジネスのチャンスになることを期待して、我慢して参加していたのです。
その流れで二次会のカラオケにもついて行ったのですが、私は完全に浮いていました。
まわりはみんな盛り上がって一緒に踊ったりして楽しそうでした。
でも私はそれに加わることができずに、ひとりでムリに笑顔を作りながら壁際で手拍子をたたいていました。
たまに私にも歌えと言ってくれるのですが、気を使っているのは明らかでした。
まわりは楽しんでいるようでしたが、私にとっては地獄のような時間でした。
その帰り道に考えたのです。今日の交流で果たして仕事につながるのかと。
一緒に盛り上がることもできないで、ひとりで静かにしていた私は、プラスの印象を与えるどころかマイナスの印象でしかなかったでしょう。
その後、当然ながらその会をきっかけにして仕事が発生することは無かったですし、知り合いができることもありませんでした。
つらい思いをしてお金と時間を使って、なおかつ悪い印象を与えるなら、参加しないほうがマシです。我慢してまで付き合う意味はなかったのです。
そのとき私は気づきました。自分が苦手なところに参加しても、自分を活かせないということに。
苦手なところというのは、そもそも自分のフィールドではないのです。
そこでは真価を発揮できません。
むしろマイナスに評価されることもあります。
そうだとしたら行かないほうがいいのです。
それ以来、二次会のカラオケに誘われたら、「ちょっとこのあと用事があって……」とウソの理由を言うのではなく、「カラオケは苦手なので行きません」ときちんと断るようにしています。
そうすれば毎回誘われるたびに言い訳をしなくて済みますし、そもそも誘われなくなります。
そのかわり、自分の得意なフィールドに誘うようにしています。
「喫茶店ならいいけど、誰か行きませんか?」
そうしてカラオケに行く人たちと別れて、こちらは数人でコーヒーを飲みながら静かに話をします。
そのほうが自分にとってはるかに有意義な時間になるからです。
もしあなたが今までに、苦手なことに無理やり参加していたのなら、ストレートに苦手だと言って断ることをお勧めします。
そして、禁句も含めて本当の自分を人に伝えることに躊躇しているとしたら、その誘いはチャンスなのです。
「すみません、性格的に騒ぐのが苦手なもので」
「10人以上の飲み会は気疲れするので参加しないようにしているんです」
「大きな声が出ないので、音がうるさいところでは話ができないんです」
断りながら自分の性格(禁句)も伝えることができるので、一石二鳥です。
なんでもかんでも相手に合わせて付き合うことで、良いコミュニケーションが築けるわけではありません。
それよりも、自分のことをきちんと伝えることのほうが、人付き合いはうまくいきます。
嫌いなことは嫌い、苦手なことは苦手と言いましょう。
それも個性の違いですし、人それぞれなのですから。
そもそも全部を他人と同じペースで行動しようとすること自体に、無理がありますからね。

■ 堂々と内向型の特徴を出す
思い返してみると、私は内向型的な部分をできるだけ見せないようにしていました。
たとえば、中学の頃は仲間とよく卓球をやっていました。
今でもそこそこうまいです。
でもそれを人前で主張することはありませんでした。
卓球をやっていると知られると、暗いとか内向的だと思われるからです(実際にそんなことはないのですが)。
高校の頃はフォークソングが好きでした。でもそれも暗いと思われがちなので、あまり表に出さないようにしていたものです。
卓球もフォークソングも悪いものではありません。
立派なスポーツであり音楽です。
それでも被害妄想的な心理が働いて、暗い人間だと思われないために、それらを隠していました。
いま思えば、とてももったいないことをしていました。
もっと堂々と好きなことを好き、得意なことを得意だと言えていたら、窮屈な人生ではなくなっていたかもしれません。
他にも、静かに釣り糸を垂れていることや、帆船の模型を何日もかかって作ったりすることも好きでした。
また、密かにギターを練習していたのは、すでにお話ししましたよね。
基本的に、ひとりで完結できることが好きなんだと、改めて感じます。
そしてそれらを好きだということで、自分の真の姿を表現できるのです。
たとえば自己紹介をするとき。
「特技は、何時間でも黙っていられることです」
「ひとりで静かにジグソーパズルをやっているときが、一番好きです」
「ひとりカラオケで昔のフォークソングをしみじみと歌うのがマイブームです」
こんな感じで言えたらどうでしょう。案外笑いも取れる気がしてきませんか?
内向型の特徴というのは、世間的にはマイナス要素です。
しかしそれを逆手にとって堂々と言えたら、自虐ネタとして立派に使えます。
そう考えると内向型としての体験はネタの宝庫と言えるでしょう。
何かを話すときも、内向型の特徴を入れるだけで、立派に成立します。
ちなみに私が滅多に出ない飲み会で、乾杯の音頭を頼まれたときの鉄板ネタは、
「今日は飲み会ということですが、(ここで一呼吸入れて)できるだけ私語は謹んで静かに飲みましょう。乾杯!」
真面目な顔でこれをやると必ずウケます。
おススメです。
ただし条件がありまして、参加者が私が内向型であることをあらかじめ知っていなければなりません。知らない人の前でやると、微妙な空気になってしまいますからお気を付けください。
このように、自身の言動に内向型の要素を織り交ぜるようにすると、だんだんキャラが立ってきます。
いわば内向型キャラですね。
これができるととてもラクになりますよ。
なんせ、大勢の中にいても堂々と黙っていられるのですから、こんなにおいしい立ち位置はありません。
詳しくは次の章でお話しします。

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