自分から声をかけられない、みんなの視線や人前で喋ることができない、こんな悩みをかかえてはいませんか?
この連載ではサイレントセールストレーナーの渡瀬 謙氏の著書「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本」から、そんな悩みを抱えて生きる方へ同じく自らの性格に40年以上、悩んできた渡瀬さんが培ってきた内向型人間の「弱み」を「強み」に変えるまでのお話を抜粋してご紹介します。
なぜ、超内向型の私がストレスだらけの日々から解放されたのか? 1/3
■ ずっと苦しかった——「普通」に見えても心はモヤモヤしていた
人目には普通のように見えても、当人の心の中はいつもモヤモヤとしたストレスを抱えていて、気持ちが休まることない状態。人付き合いに苦しみ、自身のコンプレックスに悩み、ときには他人からの言葉や視線に恐怖すら感じている。そんな内向型のつらさを、私は知っています。
たとえば「人前でうまく話ができない」というのは、多くの内向型が抱えている代表格の悩みです。でもそれを誰かに相談したとしても、たいていの答えは「勇気を持って話してみろ」とか「慣れればなんとかなるさ」などという楽観的なものばかり。そんなことはわかっている。わかっているのにできないから苦しい思いをしているのに……。どうしてそんな自分の気持ちは他人に理解されにくいのだろう。私の人生はそんな思いの繰り返しでした。

小学校の授業中、先生が「この問題をわかる人いますか?」と手をあげさせることがありますよね。当然ながら私は絶対に手をあげませんでした。100%正解がわかっていてもです。
ところが、たまに手をあげてない私に向かって「じゃあたまには渡瀬、答えてみろ」などと指名してくる先生がいます。正直これは迷惑です。私はビクッとしながらも、ゆっくりと立ち上がって答えを言います。そして隠れるように座ります。
その後、私はしばらく顔をあげることができなくなっていました。緊張のあまり、全身から汗が噴き出して顔も真っ赤になっていたからです。あごから汗が机に落ちるのが見えました。極度のあがり症なのです。
また、学校の階段をひとりで上がっているときのこと。うしろから数人の生徒が走って私を追い抜いていきました。階段の踊り場に着くと、先生が生徒を一列に並べて怒っていました。「廊下を走るんじゃない!」と、先ほど私を追い抜いた子たちも含めて並ばされていたのです。私がそっと通り過ぎようとしたとき、先生に腕をつかまれて私も並ばされてしまいました。
そして、端から順にビンタをし始めたのです。まだ体罰などがうるさく言われていない時代だったので、先生が生徒をたたくこともよくあることでした。最後に並んだ私も当然のようにたたかれました。
もちろん私は無実です。走っていませんでした。でもそのことを言えずに黙って罰を受けてしまった自分が情けなくて、あとでひとりになって泣きました。自分の意見を人に言えない性格だったのです。
社会人になっても、このような内向型のエピソードはどんどん増えていきました。
そんな私の性格を列挙すると、
- 人前に立つとあがってしまい、赤面して大汗をかく
- 会話がすぐに止まって続かない
- 面白い話で人を笑わせることができない
- 初対面の人とはまともにしゃべれない(とくに異性)
- 小さなことでもストレスになって胃が痛くなる
- 思っていることを口に出せない
- ミスや失敗を極端に恐れる
- いつも自分への不満を抱えている
まだまだたくさんありますが、内向型ならではの要素をすべて持っているような、そんな人間です。
友達と一緒にいても、会社で仕事をしていても、常にストレスを感じていました。それは相手への不満というよりも、自分への不満です。自分を変えたい、でも変われない。その繰り返しでいつも心がざわついている。「このままでいいんだ」と安心できることを望みながら、モヤモヤと落ち着かない気持ちが止まらない。
「これが一生続くのだろうか。だとしたらなんてつまらない人生なんだろう」
顔ではへらへらと笑いながら、心の奥ではそんなことをずっと抱えていました。気がつけば40歳を越えていました。
