自分から声をかけられない、みんなの視線や人前で喋ることができない、こんな悩みをかかえてはいませんか?
この連載ではサイレントセールストレーナーの渡瀬 謙氏の著書「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本」から、そんな悩みを抱えて生きる方へ同じく自らの性格に40年以上、悩んできた渡瀬さんが培ってきた内向型人間の「弱み」を「強み」に変えるまでのお話を抜粋してご紹介します。
#5ではいよいよ最初のステップにはいります。
#1はこちらから
第1章 そもそも内向型人間特有の悩みって何だろう? 1/3
■ ステップ①自分を知る
「自分のことはよくわかっているつもりだ。
だけど直視したくない。
直視すればみじめな気持ちになるだけだから」
さっそく最初のステップに入ります。この章の目的は、「自分を知る」ということです。この本をここまで読んでいるということは、あなたには内向型の自覚があると判断していいと思います(もちろん、なかには自分は断じて内向型じゃないという人もいるかもしれませんが)。
ただ、ひとくちに内向型といっても、人それぞれで違ってきます。無口だけど、あがり症ではなく、人付き合いもほどほどにできるなど、内向的な特徴の組み合わせによっては無限のパターンが存在します。自分が内気だと思っていても、他人からは普通に見られていることもありますし、その逆もあります。
さらに、「しゃべりが苦手」というカテゴリーにも様々な解釈があって、どれくらい苦手なのか、まったくしゃべれないのか、など人それぞれです。もっと言うと「苦手」の尺度も人によって違うので、単純に一括りにしてしまうのも無理があります。
そう考えると、内向型人間の定義がとても複雑になってしまいますよね。
そこで本書では、私が勝手にこう決めます。
内向型=「自分のことを内向型だと思っている人」
どんなにおしゃべりで明るく振舞っていても、当人が内向型だと言うのなら、その人は内向型人間ということにします。細かな定義よりも、実際に自分の性格に不満や悩みがあって、それが日々の生活のなかでストレスを感じているという事実を重視したいのです。
ということで、このあと内向型の代表的な特徴を並べますので、今の自分はどれに当てはまるのかをチェックしてみてください。そもそも自分はどんな人間なのかを、客観的に判断するのが目的です。
変な見栄は捨ててくださいね。
■ あなたは、どれが当てはまりますか?
ちなみに、私は中学生のときに性格診断テストを配られて、その設問のなかで「あなたは積極的ですか、消極的ですか」と聞かれて、答えに迷ったことがあります。消極的と答えてしまうと、自分がダメなヤツだと認めることになると思ったからです。
誰がどう見ても私は消極的に決まっているのですが、素直に選べずに少し考えてから「消極的」にチェックしました。あのときは明らかに変な見栄が働いていました。まだ自分を正視できなかった頃の話です。
正視しづらい気持ちがあるかもしれませんが、ここはできるだけ正確な自分と向き合ってみてください。
以下が内向型の特徴です。例として、私の小学生の頃と社会人になってからのエピソードを書きます。
■ 性格が暗い ⇒ 常に悲観的で、小さなことでもすぐに落ち込む。
・何かを始める前に、常に「失敗するかもしれない」と悪い方向に考えてしまうクセがある。
・子どもの頃から不安が強く、遊びでも危険を想像して行動できないことがあった。
・大人になってもその傾向は続き、仕事の場面でも悪いイメージが先行し、結果的に悪循環になってしまう。
■ すぐに緊張する ⇒ 人目がとても気になって、見られると余計に緊張する。
・子どもの頃から、人前で注目されると赤面し、大汗をかくほど緊張してしまっていた。
・友だちやクラスメイトに話しかけられるだけでも、恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまった。
・社会人になっても人前で話す場面が苦手で、緊張からうまく話せず、話し終わると汗が止まらなくなる。
■ 人づきあいが苦手 ⇒ 誰かと一緒にいるよりも、一人でいることを好む。
・子どもの頃から集団行動よりひとりで過ごすことが好きで、ボーイスカウトでもホームシックになった。
・社会人になってからも、人との雑談を避けるために出社はギリギリ、昼食もできるだけひとりで取っていた。
・集団が苦手で、飲み会などでも楽しめず、いつも気疲れしながら早く時間が過ぎてほしいと思っていた。
■ とくに異性と話ができない ⇒ 対人関係のなかでも、とくに異性が苦手。
・子どもの頃から女の子と話すのが苦手で、話しかけられるとパニックになっていた。
・大きくなっても恋愛に強い不安があり、彼女ができても会話やデートがうまくできないと思っていた。
・理想の女性は「一緒にいて黙っていられる人」だった。
■ 他人の顔色を気にする ⇒ 人の意見に従うばかりで、率先した言動がない。
・子どもの頃から人目を気にし、周囲の反応を見てから行動する性格だった。
・嫌われる・バカにされることを恐れ、やりたいことも言いたいことも抑えて生きていた。
・社会人になっても上司や同僚の顔色を伺い、波風を立てないよう最低限しか発言しなかった。
■ 面白くない ⇒ 恥かしさが先に立って、おどけたりひょうきんなことができない。
・クラスで人を笑わせる人気者を見て、自分もそうなりたいと強く憧れていた。
・自分には人を笑わせた記憶がなく、密かに「ウケたい」という願望があった。
・ダジャレを試してみたが不自然になり面白くないと言われて、人は脈絡のない冗談では笑わないと知った。
■ 無口である ⇒ 言葉に慎重になり過ぎるあまり、いつも黙ってしまう。
・大勢でも二人きりでも気を使いすぎてしまい、話題が浮かばず沈黙が苦痛だった。
・中学時代は友人と通学しても話せず、話題を探す負担からひとりのほうが楽だった。
・営業職でも会話に慎重になりすぎ、失礼やトラブルを恐れて何も言えず、沈黙と発言の両方に悩んでいた。
■ 判断が遅い ⇒ 理詰めで考える習性があり、直感で選ぶことが苦手だ。
・慎重すぎる性格で判断が遅く、周囲からはぼんやりしているように見られがちだった。
・学校でも立候補が遅く残りの当番を引き受けることが多かったが、地味な作業は嫌ではなかった。
・大人になっても判断の遅さが会話のテンポを悪くし、二択すらすぐ答えられず会話下手の原因になっていた。
■ 意見を言わない ⇒ 自分の意見を言って話題の中心になるのは避けたいと思っている。
・自分は意見を言うキャラではないと思い込み、文化祭などの話し合いでも発言せず、反対意見は出さない。
・目立つことを避け、みんなの前で発言しないよう常にひっそりとしていた。
・会社の会議でも自分から話すことはなく、指名されても「とくにありません」でやり過ごしていた。
■ 劣等感を持っている ⇒ 自分のマイナス面ばかりが目について、常にコンプレックスを抱えている。
・痩せた体を見られるのが嫌で、夏でも長そでを着るなど、人と比べて劣っている部分ばかり気にしていた。
・無口・あがり症・消極的など、自分の弱さを常に意識し、人前に出ることを避けていた。
・営業になってからも「人よりできない部分を克服しなければ」と思い込み、苦手な会話の練習に励み、周りを笑わせる人をうらやましく感じていた。
■ 評価に厳しい ⇒ 慎重といえば聞えはいいが、臆病だともいえる。
・授業中に手をあげないのは、注目されたくないことと、100%自信がないと発言できないため。
・確信がないと行動できず、間違いを極端に恐れる内向的な性格だった。
・社会人になってからは自分にも他人にも厳しく、小さなミスばかり気になり、人をほめづらく部下に慕われにくい面があった。
■ 細かいことが気になる ⇒ 神経質でくよくよしてしまう。
・神経が過敏で、テスト前に下痢になるほどストレスを感じ、軽い悪口でも長く引きずってしまう。
・悪い噂に敏感で、人から悪く思われないよう常に注意して行動していた。
・雑な性格に見られたくて遅刻を試しても、強い罪悪感が残り、無理に振る舞うこともできなかった。
以上、私自身に照らしながら、内向型の特徴について並べてみました。どうしてもマイナス面ばかりが目に付く傾向がありますが、それも内向型ならではのことかもしれません。
あくまでも、あなたをさらに落ち込ませようとするためではなく、いまの自分を知ってもらうことが目的です。まあそうは言っても、これだけ並べてしまうと、どうしても気落ちしてしまうかもしれませんね。
そこで、少しぐらいはプラス面にも目を向けることにします。
👉 次回(#6)では、ものごとのプラスとマイナスの面についてお話しします。