自分から声をかけられない、みんなの視線や人前で喋ることができない、こんな悩みをかかえてはいませんか?
この連載ではサイレントセールストレーナーの渡瀬 謙氏の著書「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本」から、そんな悩みを抱えて生きる方へ同じく自らの性格に40年以上、悩んできた渡瀬さんが培ってきた内向型人間の「弱み」を「強み」に変えるまでのお話を抜粋してご紹介します。
#25では第5章最後として「スペシャリストのすすめ」のお話しになります。
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第5章 仕事はストレスを減らすことを重視すればいい 5/5
■ ひとつに集中して一流になる
自分の欠点を治すために費やしてきた時間を、今度は自分の好きなことや得意なことに振り向けてみるとどうなるかを考えてみたことがありますか?
それは想像以上のスピード感です。私は実際にそれを味わってきました。
この本でこれまで述べて来たことを、私は42歳のときにようやく理解しました。
内向型の性格は悪くないこと。
それは個性だということ。
そして自分の得意なことを伸ばすのに時間をかけることです。
それまでは、欠点ばかりに目を向けて生きて来たのですが、その克服作業を一切やめて、伸ばすべき部分に集中し始めました。
ここで私の仕事歴を年齢で追ってみると、
こんな感じになります。
かなり大胆に職種を変えてきているのがわかるでしょう。
デザイン会社経営については、まだ触れていませんでしたが、コピーライターの延長のようなものです。
とくに、それまで経験もなく、まったく未知の分野である営業コンサルタントになったのは、42歳からでした。
つまり、今の仕事をゼロから始めて、まだ10年ちょっとしか経っていないのです。
それで、この経歴を書けるまでになりました。
小さい頃から極度の人見知りで、小中高校生時代もクラスで一番無口な性格。明治大学卒後、精密機器メーカーに入社。その後、(株)リクルートに転職。社内でも異色な無口な営業スタイルで入社10カ月目で営業達成率全国トップになる。94年に有限会社ピクトワークスを設立。広告などのクリエイティブ全般に携わる。その後、事業を営業マン教育の分野にシフト。日本生命保険、三菱東京UFJ銀行、SMBC日興証券をはじめとする各企業でのコンサルティングや研修、講演を行って現在に至る。 主な著書に『内向型営業マンの売り方にはコツがある』、『内向型のための雑談術』(いずれも大和出版)、『「しゃべらない営業」の技術』(PHP研究所)、『相手が思わず本音をしゃべり出す「3つの質問」』、『相手の「買う!」を自然に引き出す4ステップ商談術』(いずれも日本経済新聞出版)、など25冊以上の実績。
本の数もさることながら、超一流企業から直接依頼が来るまでになったというのは、あらためて見ると自分でもすごいことだと思います。
これが営業コンサルタントという仕事に集中した結果です。上手にしゃべる練習など、自分の欠点を克服する行動を一切やめることで、膨大な時間を手に入れました。
それをすべて新しい仕事に充てたのです。
40歳を過ぎて、未経験の仕事を始めても、たった10年で一人前になれたというのは、私にとっても信じられない思いです。
ですから、自分にとってストレスのない仕事を見つけたとしたら、ぜひトライしてみてください。
そしてやると決めたら集中して突き進むこと。そうすれば、その分野で一流と呼ばれるようになれるでしょう。
なんせ今まで、いろんな雑音に耳を傾けたり、欠点をひとつずつ克服したり、ある意味で脇道にそれてばかりいたにも関わらず、今日までやってこられたのですから。
これが一点に集中したら、もうものすごいことになりますよ。
一度きりの人生ですから、自分のために、将来のために、有効に使いましょう。
■ スペシャリストのすすめ

私たち内向型は、とにかく目立つことを避けて生きてきました。
先頭に立つことなく、かといって遅れることにならないように、頑張って集団のなかに紛れることを目的としてきました。ある意味で、「普通」を目指してきたのです。
ですからトップになるための努力をすることもありませんでした。
当然、一番になる経験もほとんどない状態です。たまたま一位になることはあるでしょうが、それは努力した結果ではなく偶然だったりします。
また、集団で孤立してしまうことが恐いために、まわりと違う存在になることも嫌います。
ヘタをするとイジメの対象になりがちなタイプなので、変に目立たないことを常に意識しています。
単独で我が道を行くことができるほど自我も主張も強くないので、アウトサイダー的な生き方に憧れながらも、そうなれない自分がいたりします。
このように考えてみると、内向型というのは、ひとりだけ異質の存在になることを恐れているのがあらためてわかります。
遅れて劣等感を味わいたくないというプライドと、目立つとあがってしまうのでそれを避けたい気持ちと、ヘタに波風を立てるとイジメを受けるかもしれないという恐怖心が入り混じっているのでしょう。
ですから、ここでお話しするスペシャリスト(専門家)になるための土台が、そもそもないタイプなのだと言えるのです。
ただ、一方では、単独で自分流に生きている人を見て、羨ましいと思っていることも事実です。
なんせ、他人の視線を気にすることなく、自信を持ってひとりで活動している姿は、内向型の理想そのものですから。
私が宮本武蔵や坂本龍馬が好きなのも、そんな理由からなのかもしれないと、いまこれを書きながら思いました。
このような現状を踏まえたうえで、あえて言います。
スペシャリストを目指しなさい、と。
べつに独立してひとりなれということではありません。
会社組織のなかでもスペシャリストになれます。
つまりどこで何をしようとも、専門性を持つことは可能であり、それこそが内向型には理想形なのです。
私たちの心の奥底には、案外目立ちたがり屋な自分がいたりしませんか?
クラスで一番目立つ子に憧れる気持ちを持っていませんでしたか?
人目を気にするというのは、裏を返せば人から見られたいという気持ちがあるからです。
もっと言うと、自ら手を挙げて視線を集めるのではなく、人に気づいてもらい、認められて褒められたいという願望が強いのだと思っています。
その願望を満たしてくれるのが、スペシャリストなのです。
専門家というのは、なにもプラス側に突出している必要はありません。
とことんマイナスに突き抜けていても、それも立派なスペシャリストです。
たとえば、私は、内向型のジャンルに関しては、それなりの著書もありますし、専門家であると言えるでしょう。
個人的には近い将来、内向型の第一人者を目指しています。
これは内向型の人なら誰でも比較的簡単に目指せるものではないでしょうか。
もしあなたが、超ウルトラあがり症だとしたら、それはあがり症の分野での専門家になる資質は十分にあります。
なんせあがり症の体験談を語らせたら、延々と話せるくらいの情報量を持っているでしょうから。
まあ、内向型はマイナスではないと本書で言っていますが、まだ世間的にはマイナス要因だと思われていることが多いので、ここではあえてマイナスに位置付けてお話ししています。
会社の中でも専門家になることは可能です。
たとえば、あなたがパソコンマニアでそのことをまわりに隠していたとします。
でも本当に好きなことで時間も忘れて熱中できるものだとしたら、その専門性はかなりのものでしょう。
それを隠さずに表に出すだけで、翌日からあなたは社内でのパソコン専門家の地位を得られます。
パソコンのことならあいつに聞けという存在になれば、人間関係も、社内での立ち位置も見違えるくらいに向上するでしょう。
内向型だって専門家を目指していいのです。むしろ目指すべきでしょう。
人から一目置かれる存在になることが、内向型が抱えるストレスから解放される最も近い道なのですから。
■ いざとなったら、辞めてしまうのも1つの方法

さて内向型と仕事の関係について、ここまでお話ししてきました。
なかには独立とか専門家になるなど、これまで考えて来なかったようなことも出てきたかもしれませんね。
ただひとつ、これだけは言えます。
仕事は長く続けたほうが価値があるということです。
同じことを続けていれば経験も積まれますし、能力も高くなります。
その分だけ人からの信頼もついて、収入も安定します。
さらに効率もあがるので時間的にも作業量的にも楽になっていきます。
私は短期間のも含めると、会社を7回辞めています。
その間に、職種も4回変えています。
その都度、収入が落ちたり、ゼロから仕事を覚えたりしていました。
これは私にとっては、本当の自分を見つけるための旅のようなものでしたので、現在に至るためのプロセスだったと思っています。
ただ、ムダなまわり道も多かったなと感じているのも事実。
ですから、安易に転職しろとか独立しろなどと言うつもりはありません。
ひとつの会社で仕事を続けられるのなら、それが一番なのです。
ただし、同じ仕事を続けることだけにウエイトを置くのも危険です。
続けることに大きなストレスを感じることや、そのストレスもどんどん大きくなることが予想されるときがあります。
また、日々の仕事がまったく楽にならずに、このまま年をとっていくのが不安になるときもあるでしょう。
そんなときは、まずストレスを減らせないかを検討してみたり、仕事の効率を考えてみたりすることです。
何かしらの工夫で改善できるなら、それに越したことはありません。
それでもだめなら、そのときは辞めることも選択肢に入れるべきです。
もちろん辞めたら次のことを考えていく必要が出てきます。
ようやく入れた会社を辞めるのは、もったいないと感じるかもしれません。
でも大切なのは、あなた自身です。
もちろんストレスを抱えて我慢して生きていくのもひとつです。
それを止めたりはしません。
しかし、耐え続ける人生の他にも、意外に楽しい人生があって、それを選択できるということも知っておいてほしいのです。
さてこのコラムもそろそろ終盤です。
次は最後のステップになります。
私が一番伝えたかったことをぜひ受け取ってください。
